投資における心理とは

新NISAで投資デビューをした人も多いのではにかと思う。今のところは順調に資産が増えているのではないか。
しかし、これからも順調に資産が増え続けることはありえないのだ。必ずどこかのタイミングで大きく下落する直面に遭遇するだろう。来年か、再来年か、5年後か、10年後か、またその下落幅の大きさについても、それは誰にもわからない。しかし絶対にやってくるのだ。
そんなとき・・

・我を忘れてパニックに陥り売却してしまう
・今売らなきゃ明日はもっと下っちゃう、一刻も早く売らなきゃ
・当初の投資方針をすっかり忘れ、我慢できずに売却しちゃう

大幅な下落に遭遇した場合、実際はもっと酷くショックを受けるものだ。下手したら老後の計画が全く変わっちゃうかも?と落ち込むものだ。komaも過去にその様な経験を幾度となくしてきたのだ。

上記のことは相場が大きく下落した事実に遭遇したときの心理状態が引き起こす行動なのだ。
あらかじめ心理的行動を理解することで、早まった行動を未然に防ぐことができるのではないだろうか。

目次

投資は心理学だ

投資をする際、大体の人は先入観や偏りがあり、正しく判断できない場合が多いものだ。これをいわゆる「バイアス」というらしい。
主なバイアスとして以下を紹介したい。

親近感バイアス

人は自分の身近なものに親近があり、その環境が居心地が良いものである。投資に関しても同じことが言えるのだ。
自分の働く会社が業界でどの程度のレベルかも考えず、自社株に多くを投資するのも同様の考え方。また自分が働き、理解してる業界への投資、良く知ってる有名な企業や我が国ニッポンなら安心だと思う気持ち等。雰囲気や何の根拠もないが、なんとなく大丈夫だろうと購入してしまう。

自信過剰バイアス

自分の能力を過大評価してる人。分散投資なんか必要ないぜ、オレは成長しそうな個別銘柄に集中投資して大儲けする自信があるんじゃい!komaの知人でも、投資初心者なのに自信満々にスマホ片手に儲かった損したと、まるでパチンコと同じ感覚で株取引をやってた人もいたのだ。こういう人は基本聞く耳は持たず、最終的には大損して静かに投資から足を洗っていくのであった・・・
また、損すれば「人のせい」営業の責任にしたり、運が悪かったと言うが、儲かれば「オレのせい」「オレの実力」と言い張る。

群衆行動・・現在がそうかも?

新NISAが始まり投資未経験者が勢いに乗せられ成長枠で株式を買い始めたことも当てはまるのでは?
赤信号、みんなで渡れば怖くない 

後悔回避・・損をしたくない心理

緊急に資金が必要になり株式を売却する必要となった場合に、利益が出ている株式を売却するか、損している株式を売却するか?
多くの人は利益が出ている株式を売却することを選択する傾向がある。理由は損をしたくないからである。このことからも塩漬け株(損してる株)を長期保有し、利益が出ている株式を早くに売却することが説明できる(損失回避性に似ている)
また普段行わない行動をして損したくない思考から動くべきタイミングで動かずにチャンスを逃す・・

現状維持バイアス・・変化を恐れる心理

行動することが適切であるにも関わらず、回避しようとする。
変化対応しなければ資産も成長しないのである

アンカリング

初期の情報(アンカー)が後に続く判断や決定に大きく影響すること。よく目にする機会としてスーパーマーケットやドラッグストアの広告で「冷凍食品定価の半額!」をよく目にするが、定価で売ってる冷凍食品なんて見たことないのだ。この場合、定価がアンカーとなり半額セールが超お買い得に感じるのだ。景表法に引っかかりそうだが・・
株式では自分が購入した価格がアンカー(基準値)となるため、例えば2割下落しても元に戻るはずだと売れない心理状況となる。

確証バイアス

自分の考えが正しいのだ、という肯定的な情報ばかり収集する。
自分自身を納得させるための心理かな。

サンクコスト効果

すでにかけたコストがもったいなく感じてしまい、適切な判断が出来なくなってしまう。

メンタルアカウンティング(心の会計)・・全体が見えていない

同じお金でも入手方法や使い道によって、扱い方が変わり、不合理な意思決定を行ってしまう。
地道に働いてコツコツ貯金でためた100万円と宝くじで当たった100万円では近い方も変わってくる。いわゆる「泡銭」ってヤツですね。ぱぁ〜っと使っちゃおう!ってやつかな?
電気料金が値上げになり、生活費が1万円上がることに生活防衛意識が働きながら、一方で趣味のバイクに20万円のマフラーを躊躇なく購入したりと、お金の価値観が支出する※カテゴリーにより違った傾向があるものだ。
※カテゴリー➡生活費、趣味・娯楽、貯蓄等
分散投資した資産について個別の銘柄で投資の判断をするのもこれに当たる(本来はグロスでの評価をすべきなのに)

ディスポジション効果

株式が値上がりしたときには、いち早く利益確定したくなるが、一方で値下がりしたよきには、いつか回復するだろうとの期待から売りたがらない心理である。
結局値上がりした株は速攻売却するが、損した株は長期保有するという非効率的なポートフォリオ管理になってしまうのだ。長い目で見ると失敗するパターン

日経平均が過去最高♪
オレの投資信託も順調だぁ ルンルン・・
どうしようか? 今が上限か、まだ上がるのか どうすっかな
ん〜 売らずに後悔するくらいなら今売っちゃた方がいいじゃねぇか?
なんだかんだ自分への言い訳をして結局売却してしまう人が多いものである。

ちくしょー、損こいたぁ〜 30万も損したぞ
あん時売っておけばよかったぁ〜 くそお
ん〜 取り戻してやるぅ 絶対に戻る
みんな売ってるけど、オレは売らないぞぉ

直近バイアス

最近の出来事や、最近得た情報を重要視する心理のこと。明らかに高値の株式なのに直近少し下がったため「買いだ」と高値掴みしてしまう。現在日経平均が39,000円前後で推移している。今までの20年から30年の大きな動きの中では明らかに高いのではないかとkomaは考えるのだが。新NISAから始めた投資家にとっては現在が基準(アンカー)になっているので注意が必要ではないだろうかと思う。

損失回避性・・損だけはしたくねぇ〜

投資家が利食いよりも損切りを嫌う傾向。
儲けと損失が同額だった場合、同じ金額なのに儲けた喜びの感情より損失を被る恐怖心のほうが2倍以上強く感じてしまう心理。

感応度逓減性と利益と損失の非対称性

株式で10万円の利益を出した時と20万円の利益を出しと時を比較した場合、20万円の利益を出し時に10万円の利益を出した時の2倍の満足感は得られない。
また同じ様に10万円の損失を出した時と20万円の損失を出しと時を比較した場合、20万円の損失を出し時に10万円の損失を出した時の2倍のガッカリ感はないのだ。

また株式で10万円の利益を出したときと、10万円の損失を出しと時には10万円の損失を出した時のほうが受けるダメージは大きいのである。

近視眼的行動と時間非整合割引率

近視眼的行動 ➡ 短期的な利益を優先し、長期的な利益を軽視する行動

時間非整合割引率 ➡ 短期と長期では短期のほうが時間割引率は高いとされている。
           短期割引率の高い人は将来より現在を重視する傾向があるとされる。
           時間非整合割引率が高い人は近視眼的行動に陥りやすい。

具体例 ➡ 分配金のない投資信託と毎月分配のある投資信託がある場合、分配金のない投資信託の方が複利効果で最終的な利益を期待できるのだが、近視眼的行動から見ると毎月分配金のある投資信託に飛びついてしまう行動等。

現在の100万円と1年後の105万円を選択する場合、どちらを選ぶか?
現在価値で考えた場合に当然1年後の105万円のほうが有利となるが、多くの人は現在の100万円を選択する。目の前の価値を課題に評価して選択する傾向があるのだ。

そう考えると年金の受給年齢もこれに該当しそうである。65歳が基準となるが、60歳に繰上げ受給すると減額率が24%となり、70歳に繰り下げての受給だと42%の増額、75歳まで繰下げると84%の増額になる。
24%も減額される60歳から受給してる人の割合は10%を越えているのだ。減額されたとしても今現在、現金が必要である人には必要なことではあるが。よく検討してから判断する必要のある重要事項であることに変わりはない。

行動ファイナンスにおける代表性 過去の成功体験を踏襲してしまう

過去の経験やパターンを過度に重視しすぎてしまい、合理的な判断が出来なくなる。結果ミスする。
日経平均がズルズル下がり、35,000円を切った頃に、何の根拠もないが雰囲気だけで「そろそろ上がんじゃね」
昔いわれた感ピュータ?ってやつ

行動ファイナンスにおける利用可能性

新しい情報や直ぐに思い浮かぶ情報に基づいて判断する傾向のこと。
1年前の売買行動に関する情報より2週間前に仕入れた売買行動に関する情報を信頼し行動を起こす傾向。
※観察・分析・判断をすることで克服が可能

まとめ 観察・分析・判断

投資における心理は多種多様で複雑なものなのだ。また外からの雑音も多いものだ。バイアスはひとつだけではなく、複数が絡み合っていているのである。簡単に解決できるものではないと思うが、以下の流れで進めることが大切であるのはないだろうか。

①観察:問題点を発見すること。情報に関することをよく見て、比較することが大切   
②分析:観察によって発見された問題点を定性的、定量的の両方向から客観的に十分検討する。  
③判断:分析結果に基づいて行動を決定をする。             

つづく

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