債券ってどんなもの?
国や企業が資金調達をする手段として発行する債券。投資家ににっては株式や投資信託に比べて比較的安定的に運用できるもの。安全性が高い分、リターンは大きくはない。
一般的には利付債券であり、発行時から償還するまでの期間、定められた利率にる利子が支払われる。金利の影響が大きく、金利が低下している時は価格が上がり、金利が上昇している時は価格が下り収益性が悪化する。
償還まで保持すると額面金額を受け取ることができるが償還前に売却する場合には市場での売却となる。
- 利付債と割引債・・利付債は定期的に利子が支払われる。割引債は利子は支払われないが、最初の段階で額面より低く販売されるため償還時に利益が出る仕組み。
- 公共債と民間債・・公共債は国債と地方債が主。特に国債は一般的に知れ渡っている。民間債は社債と金融債がある。komaが保持してるのは「社債」である。日本では90%程度が公共債である。発行体、発行場所、発行通過のどれかが日本以外の場合は「外債」という。
- 新発債と既発債・・新規の債券を新発債、すでに発行済となっており市場で流通している債券を既発債という。
- 額面金額・・多くの場合100円で発行されているが、50円、1000円、1万円などさまざまである
- 表面金利・・年間の利率のこと。クーポンレートもいう。償還まで変わらない。
- 発行価格・・新発債が発行される時の価格のこと。額面100円とした時、額面より下の場合アンダーパー、上の場合オーバーパー、100円の場合パーという。ゴルフと同じか (^o^)
- 償還期日・・満期日のこと(額面金額が受け取れる日)。満期前に償還される場合もあり「期中償還」という。
- 利払日・・最も嬉しい利子を受け取れる日。年2回が一般的
- 募集期間・・申込みの期間(証券会社の広告で確認できる)
- 取引は店頭市場が中心・・証券会社とのやりとり
- 新発債と既発債の売買の違い・・新発債は発行価格で購入できる。既発債は委託手数料と経過利子分を加えて購入及び売却をおこなう。経過利子は経過日数/365日で計算する
債券のリスク
- 金利変動リスク・・一般的に金利が低下すると債券価格は上昇し、金利が上昇すると債券価格は下落する。償還まで保有していたら関係ないが。
- 信用リスク(デフォルトリスク)・・発行元が倒産したらゼロ円になる可能性もある。我々、一般の投資家にとって投資する社債の安全性を見極めることは難しいことである。そのため第三者機関である格付け機関が発表する評価を基準として判断する。S&Pの格付け記号は信用リスクが小さい(安全)方からAAA、AA、A、BBBまでが投資適格債となっており、BB、B 以下は投資不適格債となっている。一般的には格付けが高い債券は価格が高くなるので利回りは低くなる。格付けの低い債券は価格が低くなるので利回りは高くなる。
- 流動性リスク・・売りたい時に売れず、チャンスを逃すリスクがある。
- カントリーリスク・・外債などで、発行された、その国固有のリスク。一般的には先進国に比較して新興国のほうが高い傾向である。
- 期中償還リスク・・途中で償還されてしまうと、想定した利益をあげられなくリスクが発生する。
利回りの計算について(利付け債券)
債券の場合は利回りの計算ができないと、正確な判断を誤る場合がる。特に既発債などは表面金利(クーポン)だけで判断すると痛い目にあうこともある。
利回りの計算には応募者利回り、最終利回り、所有期間利回り①、②の4つがある。
① 応募者利回り
発行日から償還期限まで保有した場合のこと。計算式は以下
表面利率 + 額面(100円)ー 発行価格
償還期限 *100
発行価格
計算例)
発行価格99円 表面金利1.5% 償還期限10年の利付け債券 (小数点4位切り捨て)
答えは 1.616% 発行価格が100円の場合は1.5% 償還期限が5年だったら1.717%
② 最終利回り
既発債を購入して償還期限まで保有した場合のこと。計算式は以下
表面利率 + 額面(100円)ー 購入価格
残存期間 *100
購入価格
計算例)
表面利率2.0% 残存期間4年 購入価格102円の利付け債券 (小数点4位切り捨て)
答えは 1.470%
③ 所有期間利回り1、2
所有期間1は発行日から保有し途中で売却した場合。
所有期間2は途中で購入(既発債)し、売却も償還前に売却した場合。
計算は所有期間1,2も同様
表面利率 + 売却価格 ー 購入価格
所有期間 *100
購入価格
計算例)
表面利率2.5% 利付債券を100円で購入 5年後に102円で売却 (小数点4位切り捨て)
答えは 2.9%
個人向け国債
金利が上昇傾向にあり、変動10年国債は半年ごとに利率が見直されることもあり、人気が出そうな感じがする。
国債は国が発行する債券であるから、安全性が極めて高いというメリットがある。個人向けの国債にも種類があり、自分にあったものを選ぶことができる。
個人向け国債はNISA口座で購入することはできない・・
固定3年 (固定金利)
金利設定:基準金利−0.03% 財務省HPで確認できる 第168回債(5月) 0.29%
下限金利:0.05% ※最低保証金利
利払い:半年毎
発行頻度:毎月
購入単位:1万円以上1万円単位
単位価格:100円
中途換金:発行後1年経過後。直近2回分の利子*0.79685が差し引かれる
固定5年 (固定金利)
金利設定:基準金利−0.05% 財務省HPで確認できる 第168回債(5月) 0.45%
下限金利:0.05% ※最低保証金利
利払い:半年毎
発行頻度:毎月
購入単位:1万円以上1万円単位
単位価格:100円
中途換金:発行後1年経過後。直近2回分の利子*0.79685が差し引かれる
変動10年 (変動金利)
金利設定:基準金利*0.66% 財務省HPで確認できる 第168回債(5月) 0.57%
下限金利:0.05% ※最低保証金利
利払い:半年毎
発行頻度:毎月
購入単位:1万円以上1万円単位
単位価格:100円
中途換金:発行後1年経過後。直近2回分の利子*0.79685が差し引かれる
中途換金した場合の計算
額面200万円の個人向け10年国債(0.57%)を3年2ヶ月で中途換金したとした場合の例
利子は半年ごとに5700円(税引き前)✕ 6回(3年分) = 34200円はすでに受け取っている
2,000,000 +(2,000,000✕0.0057✕2/12)=2,001,900
2,000,000✕0.0057✕6/12✕2回✕0.79685=9,084
2,001,900ー9,084=1,992,816円
中途換金した場合は調整額が差し引かれるので元本を下回る。償還まで保有すると元本が受け取れる。
新窓販国債
平成19年から取り扱いする窓口を民間金融機関に拡大したために、このような名称となった国債。
固定2年・5年・10年 (固定金利)
金利設定:財務省HPで確認できる
2年 2024年5月募集 表面金利0.3% (税込み)
募集価格 発行の都度決定 100.06円
応募者利回り 0.268% ※募集価格が額面を上回っているため表面金利より下がっている!
申込単位 5万円以上5万円単位
発行頻度 毎月
途中換金 市場でいつでも可能(中途換金した場合、金利の影響で元本割れリスクはある)
利払い 半年毎
5年 2024年5月募集 表面金利0.6% (税込み)
募集価格 発行の都度決定 100.42円
応募者利回り 0.509% ※募集価格が額面を上回っているため表面金利より下がっている!
申込単位 5万円以上5万円単位
発行頻度 毎月
途中換金 市場でいつでも可能(中途換金した場合、金利の影響で元本割れリスクはある)
利払い 半年毎
10年 2024年5月募集 表面金利0.8% (税込み)
募集価格 発行の都度決定 98.88円
応募者利回り 0.813% ※募集価格が額面を下回っているため表面金利より上がっている!
※昨年2023年5月募集は10年応募者利回り0.383%しか無かった!
申込単位 5万円以上5万円単位
発行頻度 毎月
途中換金 市場でいつでも可能 (中途換金した場合、金利の影響で元本割れリスクはある)
利払い 半年毎
koma的には個人向け国債は定期預金と同じ様なものだとしたら新窓販国債は金利は高いがチョイリスクがあるものだと思う。しかし投資信託よりは比較にならないほど安全性が高いものであると思う。投資は危険があるから手を出したくないが、定期預金ではあまりに利率が低すぎると考える人にはうってつけだと思う。
債券の課税について
特定公社債等 ➡ 国債・地方債・外国債・公募公社債・上場公社債・・・
利子 ➡ 所得税20.315% + 住民税5% = 20.315%
源泉徴収が行われるので申告不要でOK
ただし申告分離課税を選択すると譲渡所得と損益通算可
売買損益 ➡ 譲渡所得は申告分離課税(損失については3年間の繰越可)
最後にkomaが保有している社債
ルノー第26回円貨社債
新発債(払込) 2022年12月22日
利率 2.800%
償還日 2026年12月22日 (4年)
利払い 年2回
発行価格 100円
申込単位 額面10万円単位
格付け A-/安定的 JCR(日本格付け研究所)
引受会社 SMBC日興証券
時価 101.33円/2024年5月27日現在
ソフトバンク第59回無担保普通社債
新発債(払込) 2024年3月14日
利率 3.04%
償還日 2031年3月14日 (7年)
利払い 年2回
発行価格 100円
申込単位 100万円
格付け A-/安定的 JCR(日本格付け研究所)
時価 100.60円/2024年5月27日現在
両社債とも償還までの期間が比較的短いので金利が上昇し債券には不利な状況だが時価が額面を上回っている。
格付けがA-なので投資適格債であり、両社ともここ数年で経営破綻するとは考えにくく、しかも利率が2.8%と3.04%あり、元本保証となると安全性を求める人にはいいのではないか?komaはそう判断している。あくまでも私見ではあるのだが。
つづく
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